美しい苗の色から10年先を見る
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全国のフレンドの皆様、超こんにちは!
愛とパワーを与える百姓若旦那、中川吉右衛門です。
美しくないですか?
この苗の色。
これは今の我が家の亀の尾くんです。
自然栽培で育苗すれば、決まってこのような色になるんです。
この色をなんというかわかりますでしょうか?
これこそまさに、
「萌黄色」(もえぎいろ)です。
萌黄色とは、春先に萌え出る若葉のようなさえた黄緑色のことです。
これこそ、まさに自然色だと僕は思います。
なので、見るだけで「美しい」と、おそらく誰でも感じます。
何せ、平安の時代から親しまれた伝統ある色合いですから。
これに、肥料が入ると、絶対にこの色にはなりません。
じゃあ、肥料が入っている苗っ子は、どんな色か?
と言うと、なんというのか、もっともっと濃い緑色です。
肥料たくさん入っているな〜という苗っ子は、
ビリジアングリーンぐらい濃い。
これはこれで、もちろん色としてあるものですし、いい色なのですが、
「美しいか」
と、問われれば、美しいとは僕は思いません。
なぜなんでしょう。
それは、やっぱり「違和感」でしょうね。
うん。確かに緑だね〜。でも・・・・
みたいな、すっきりとしない「何か」がある。
それが違和感。
そして、色彩感覚だと思います。
我々日本人の色彩感覚の底流を見つめようとするなら、
その背景の美的感覚や生活様式、つまり暮らしにどっぷりと触れなければなりません。
そうじゃければ、この違和感の正体が分かりません。
その背景の美的感覚や暮らしについて語ると、めちゃくちゃ長くなるので、ここでは一つだけ僕の考察を書いてみようと思います。
それは、「日本列島ほど四季の彩りと移り変わりがはっきりしている国はそうそう無い」
ということだと思います。
そして、その根本にあるのは、四季の移ろいと彩りを鮮明にする、豊かな自然があってこそなのです。
なので、春、初夏にかけて。
稲の苗の色、若葉。新緑の木々たち。
あらゆる生命活動がうごめき出し、夏に向かい日々生長する、まさに萌えるような色は、やっぱり萌黄色が多いわけです。
その風土と自然現象とそこに生きる生き物の生き様が、全て一致していることが、日本人の美的感覚や色彩感覚を生んだと言っても過言ではないと僕は思っています。
それがいわゆる、「共通の生理」です。
それが今現代では、自然現象と共に暮らしとしての食生産をしてきた百姓の間でさえ、失われつつあるのです。
苗の色は濃い方がいいんです。
薄いと「肥ぎれ」だから、肥料与えなさいって指導されるんです。
いや、されてきたんです。
それって、本当にわずか戦後5.60年の話なんです。
でもそうやって、お上から指導されて従ってきた、たった5.60年の間に、すっかり価値観が変わってしまった。
怖くないですか?これ。
実に稲作の歴史は、今分かっているだけで2300年。
それを連綿と続け、継承してきたんです。
それがたったの50年で一気に変わった。
それまでは、日本全国、いや全世界でもきっと、稲も麦も苗の時はこの萌黄色が当たり前だったんですよ。
だからこそ、平安時代から貴族の間で親しまれてきたわけですよね。萌黄色が。
しかも若さの象徴として。
でも今は、自然界にはまだ萌黄色はあるけど、栽培の現場にはそれがないんです。
ということは?です。
先に言った、
「風土と自然現象とそこに住む生き物たちの生き様」
が、一致していないじゃないですか。
ということは、やっぱり不自然なのです。
これが、違和感の正体です。
さらに言うと、そこが一致していなければ、
美的感覚も、生活様式も・・・
変わってきますよね。当然ですが。
だから、色んなものが「ズレて」くるのです。
少しづつ少しづつ。長い時間をかけて。
で、今です。
このズレは、自然に起こったズレなんでしょうか。
それとも人為的なズレでしょうか。
僕はどっちもあると思っています。
でも、それこそが自然であるとも言えます。
全てのものは変わり続ける。
万物流転ですから。
でも、そう考えていくと、答えなんかないんですね。
答えがないということはつまりどういうことか?
これを語ると、また長くなるので、この続きは昨日から始まった「n農FUTUTRE!のメールマガジンに書こうと思います。
だから、僕の苗の美しい萌黄色も、隣のハウスのビリジアンな苗も、全て必要な色という事なんです。
が!
僕がここで一つはっきり言いたいのは、
「美しい」
ということです。
この感性、感覚、思考、心、があるかないか?
それが無くなってしまえば、この先の農と食の未来は、めっちゃわかりやすいものにしかなりません。
今、皆様が農と食に感じている不安や懸念や疑問など。
それが全て正解になります。
間違いなく。
なので、この「美しい」という感覚は、僕の中で最上級に大事なことなんです。
それこそ、日本の農と食を照らす、一本の蜘蛛の糸であり、灯台の明かりであり、10年先に灯す光です。
こんな農家が自分の地元に増えていってほしくないですか?
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