【 コラム吉右衛門 】〜長文ですが、めっちゃ面白いです!〜

【 コラム吉右衛門 】〜長文ですが、めっちゃ面白いです!〜

「そうなんです!そうなんです!私も本当にそうなんです!」

あれは、3年前の夏の日だった。

丸の内のDEAN & DELUCAで、ある方とお茶を愉しみ、何気ない会話をしている時のこと。

突然、僕たちが話すベンチシートの背もたれの反対側の席から、いきなり、全く知らない赤の他人の女性が身を乗り出し、神妙で真剣な顔つきでこう言ってきた。

僕たち二人は、あまりにも突拍子もないことに驚きながらも、その女性が真剣な目つきで話しかけてきたので、イカれているわけではなく、何か聞いてほしいことがあるのだろうと思い、その女性を僕たちの席に呼んで、一緒に話をすることにしたのだった。

その日の僕は、お米の営業のため、日帰りで上京している時で、3件のアポイントを取っていた。

3件の予定が一件ポシャってしまったため、最終の新幹線で帰るつもりが、3時間も時間が余ってしまった。

さて、どうしたものか?

と、考えていた時、ふと、ある人のことを思い出した。

当時、僕の作物をよく注文してくれるマダムで、年の頃なら50代後半というところだろうか。
FBもやっており、とても素敵な方だった。

何が一番素敵だったかというと、そのお料理である。

彼女はよく、自分で作った晩ご飯をFBに投稿していたので、僕もよくその投稿は見ていた。

そのお料理が、プロさながら。
むしろ、そこらへんの料亭やレストランには負けないほどの美しさである。

素材にも料理法にも調味料にもこだわっていたが、そのこだわりの硬さらしきものは微塵も感じさせず、とても美しく、優雅に、そして何より、ドンピシャで

「うわ〜〜!それ今食べたい!」

という、お料理を作っている。

その彼女は、僕の作物を大変愛してくれて、自分の友人や、お気に入りの八百屋さんなどにも紹介していただき、直接的・間接的にとても応援してくれていたのだ。

その彼女が東京駅近くに住んでいることを思い出し、
そうだ!タイミングが合えば、お茶でもできないか?
そして、いつも応援してくれるお礼がしたい。

と思い立った。

早速、FBのメッセンジャー(当時なかったかな)で、メッセージしてみると、なんと偶然家にいて、そして時間が空いているという。

そんな経緯で、今までは、メールかメッセージ、またはコメントのやりとりだけだった彼女と、丸の内のDEAN & DELUCAで、僕たちは初めて顔を合わせた。

思った通りとても素敵なマダムで、笑顔が眩しいぐらい素敵な人だった。

こういう時、SNSというのはすごいもので、初対面なのにも関わらず、まるで以前からの知り合いのように、すんなり話も会話も弾むのは、きっと皆様も経験したことがあると思う。

まさにこの日も、その初対面なのに付き合いの長い友人のように気さくに愉しく時間は過ぎていった。

会話は当然のことながら、農のお話から食に流れ、そして彼女のお料理のお話へ。

僕は、いつも思っていた、なぜ、あんなに美しく、美味しそうなお料理を作れるのか?
と言う疑問を聞いてみた。

僕は想像で、きっとお料理の先生とか、以前料理に携わる仕事をしているとか、食の講師などをやっている方だと思っていたのだが、なんと!

その方は、全然そんなことはなく、ほぼほぼ専業主婦をやっている方が多いとのこと。

あえて理由は?と、聞かれれば、

「好きだから」

だという。

とにかく、食べることが好き。
だから、お料理するのが愉しくて愉しくてしょうがない。

のだそうだ。

なるほど。それは確かに最低限そうじゃなければ、あんなお料理はできないだろう。

しかし、である。

世の中には、食べるのが好きで、お料理も好き。

という方は沢山いる。

そういう方でも、お料理がうまいとか得意とは限らない。

まして、あの美的感覚が発揮されることは稀だ。

そこでさらに聞いてみる。

「世の中には、Kさんのように思っている方は沢山いますが、あそこまでのお料理はなかなか出来ませんよ。

むしろ、今の若い世代のお母さんたちは、お料理が苦痛で仕方がないって人が沢山いるんです。

「キッチン症候群」って知っていますか?

要するに、その都度その都度のご飯のメニューを考えたり、段取りしたり、作ったりするのが、もう大変すぎて、台所に立つのが精神的に苦痛になりすぎて、神経までやられてしまうって人がいるんです。

ご飯作るのに、何時間もかかったりして。

しかも結構いると思います。

もう、朝ごはんが終わった時から、晩ご飯何にしよう・・・・
何作ろう・・何作ったらいいの・・・

と、強迫観念に襲われちゃうぐらいの人もいるんですよ。

これはどう思います?」

と聞いてみた。

すると彼女は、目を丸くして

「ええ!そんな人いるの??何が?何で?」

と、全くわからないといった様子。

「私は、別に凝ったものとか、特別なものとか作っているわけじゃないのよ。いま家にあるものと、今一番美味しい旬のものがあれば、簡単にチャチャっと作っちゃう。頭の中で全部自動的にレシピのようなものが出来上がるから、それをただやるだけなのよ。私は食いしん坊だから、そうなんだと思うけどね(笑)
だって、外で食べるより、自分で作るご飯が一番美味しいでしょ。だからお料理は、私にとって愉しくて愉しくてしょうがない。台所に立つのが大好きなのよ♪」

「いやいやいや!それは素晴らしいことです。じゃあ、お料理教室とかやってみたらいいんじゃないですか?
きっと、行きたい!って方たくさんいますよ!Kさんなら!」

「ええ〜〜!私がお料理教室??考えたこともなかった〜〜笑」

と、二人で笑いあっていた、その時。

「そうなんです!そうなんです!私も本当にそうなんです!」

と、まったく別の席に座っていた、まったく見知らぬ女性が、席から身を乗り出して僕たちに向け、突如声をかけてきた。

これが、冒頭に書いた出来事の一連の流れだった。

一緒に同席し3人でお話しすることになった僕たちは、とにかくこの見知らぬ女性、仮にAさんとしておきましょう。

Aさんの話を聞くことにした。

彼女は、まだ30歳。
結婚したてで、1歳ぐらいの赤ちゃんを抱いた、かわいらしい女性でした。

聞けば、先ほど僕が言ったように、とにかくご飯が怖い。

要するに、キッチン症候群になりかかっている状態だったのです。

もう、朝からずっと、子供のことと、晩ご飯をどうしようかと、考えている毎日。

その都度その都度、何を作っていいのか、どんなメニューにしたらいいのか・・悩み、苦しみ、そして疲れていた。

疲れを癒そうと、以前の職場であったこの丸の内に来て、OL時代によく来たこのDEAN & DELUCAで、一人楽しい思い出をスイーツ代わりに、ラテを飲んでいたのだという。

その時、後ろから僕たち二人の会話がふと飛び込んできた。

もうそこから、聞いてはいけない!他人の会話だ!と自分に言い聞かせながらも、もう耳は僕たちの会話しか入ってこない状態に。

内容は、まさに自分にドンピシャな内容。

もういてもたってもいられずに、本当に申し訳なく、とても恥ずかしい話ですが、ついつい声をかけてしまった。

というのです。

僕たち3人は、この奇妙な状況を、あの時は微塵も奇妙とは思わず、親身になってAさんの話を聞いた。

Kさんは、Aさんに色々と自分の話を交えてやさしく丁寧にアドバイスしていた。

その会話の中で、僕はKさんのお料理の秘訣を見た。

Aさんは、一橋大学を出て、キャリアウーマンをしていた経歴を持つ。
いわゆる、できる女だった。

結婚を機に一度職場を辞めている状態。

子供の頃から勉強が得意で、優先順位は勉強だった。
家事全般は自分の母が全てやってくれた。
それは高校卒業まで続く。

それまで、ごくごく稀に母と台所に立つことはあったが、年に1度あるかないか。

いつも母親からは、家事やお料理は大学生になってから覚えられるし、教室なんかもあるから、それまではやらなくていい。と言われて育ってきたという。

一方、Kさんはどうか。

年代の違いはあれど、Kさんは、小さい頃から、母親に台所のお手伝いをするように言われ、そこで母のお料理に対する仕事ぶり、食材の活かし方、その方法、旬、味付け、食卓の大切さ、その情熱。

それを厳しく優しく教えられたという。

教え方が良かったのか、それでもKさんは台所を嫌いになるどころか、大好きになったと。
母が褒めてくれる、母が喜んでくれるから。

それもとても小さい時からだったらしい。

何歳かは覚えていないが、小学校に入る前からそうだったとのことだったので、5歳か6歳か。

とにかく、幼い時から台所に立って、母と一緒にご飯を作っていたのだ。

小学校高学年ごろには、大概自分でほとんどの和食料理を作れるようになって、それが、自分の好きなものを自分で作れるので、嬉しくて愉しくてたまらなかったと。

しかもKさんはちゃんと大学も卒業し、彼女もまた大企業で昔はOLをしていたのだ。

ここに、誰が聞いても歴然とした差があることがわかるだろうか。

お料理をしかるべき時に、そのタイミングで、やってきたかどうか。

そして誰から教わるのが最も自然で最も最適か。

それはやはり母からだったのだ。

母が、きちんと自分の子供に「生きる」智慧を教えること。

お料理とは、ファッションでもグルメでもなく、大昔の先人たちの智慧の結晶である。

それを、ずっと途切れることなく、母から子へ伝承・継承させてきたからこそ、自分が母となった時。
家庭を家族の生きる根本を食卓で護れるのである。

今、こうした母から子への伝承・継承が伝わらなくなって久しい。

クックパットやレシピ本が大ヒットするのには、そういう時代背景があっての側面も否めない。

しかし、レシピがあるからお料理ができるのか。

ネットで見ればお料理が作られるのか。

このAさんを見れば、それが必ずしもそうではないことは、間違いない事実である。

現に、僕の周りにもAさんのような女性は、少なくない。

その方たちは、お料理が好きではない。
むしろ、苦痛である。
でも、仕方なくやらざるをえない。

だとしたら、食に対して、愛が持てるはずがあろうか。

そういった、現代の若い世代の女性は明らかに増えているのである。

人生を考えた時。

食べることというのは、実に愉しいものである。

また、それを作るというのも、とても愉しいものだ。

それを愛する人と、愛する家族と食べるのは、また格別な時間の共有になる。

その時間が、苦痛、または嫌いな時間になるとしたら。

人生の幸福度は激減するのではないか。

そう思うのならば、我が子に、どんな人生を願うのか。

人生はお料理だけでは、その価値や愉しさは決められないと思うかもしれない。

しかし、あえて聞きたい。

あなたと、あなたの子供は、AさんとKさん。

どちらの人生の愉しさを味わって欲しいですか。

6月26日日曜日。

山形県米沢市の伝国の杜にて、「弁当の日」という講演会がおこなれる。

ここで語られること全ては、僕のこの奇妙な出会いと出来事に、そのまま直結する内容が語られる。

ぜひ、今の若い世代全員に聞いていただきたい。

結婚していようが、していまいが、子供がいようが、いなかろうが、それは関係ない。
男も女も関係ない。

とにかく、今!

この時代だからこそ、若い世代に聞いていただきたい。

弁当の日は、お弁当を自分で作って持ち寄って食べる会ではない。

弁当を我が子にわざわざ作らせる。

その大きな時間軸と意味をきちんとした形で聞いてほしいと思う。

それが、あたなと、あなたの子供にとって、どれだけ人生を明るく楽しく生きることにつながるかが、この講演で理解していただけると思う。

ぜひ、足を運んでみてほしい。

そして、あたなと、あなたの子供の人生に、一つのチャンスを与えてください。

Aさんがその後、どうなったのか。

これまた人の縁とは奇妙なり。
人生は小説より奇なり。

Kさんが開催した、お料理教室の一番初めの生徒さんとして、お料理の本当の愉しさを今、噛み締めているという。

〜終〜

※画像は、僕の大好きな仲吉京子さんからお借りしました。
この方も、すべて全自動でお料理できる方。
ね!美しく、素敵で、美味しいのがわかるでしょ♪

日時:6月26日(日) 開場10:00/開演10:30(終了12:30)
会場:伝国の杜 2階 大会議室
講師:竹下 和男 先生
定員:120名
会費:前売 大人2,000円/ペア割3,000円
当日 大人2,500円/ペア割3,500円
※小学生以下無料
※ペア割(ご夫婦、親子、カップル)
後援:米沢市教育委員会/川西町教育委員会
スクールIE米沢校・天童校
【参加方法・手続きの流れ】
1.このイベントページの「参加する」をクリックお願いいたします。
2.お申込手続きは、下記のフォームからお願いいたします。
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「こくちーずPRO」のサイトに飛びます。
http://www.kokuchpro.com/event/f39add0af133ab73b8ac2c170720e86c/
3.ゆうちょ銀行へ参加費の事前振込。
【重要】
当イベントの参加ボタンのみではお申込にはなりませんのでご注意ください。参加費のお振込をもちましてお申込完了とさせて頂きます。
参加費は事前振込が大人2,000円/ご夫婦3,000円となります。
お申込無しの当日参加は大人2,500円/ご夫婦3,500円となります。また、お申込していない方のお振込はご遠慮ください。
【お振込先】
1.ゆうちょ銀行からお振込の場合
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ゆうちょ銀行
(店名)ハチゴハチ (店番)858
普通預金 2302870
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★お問合せ
電話:080-1845-1946(中川真奈美)
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